第1章 数と式8
POINT
カッコが3つ以上ある式の展開は、かける順番を工夫する
前から順にかける必要はありません。「かけると形が簡単になる組」から先に計算するのがコツ。とくに和と差の積 \((a+b)(a-b)=a^2-b^2\) が作れる並べ替えは強力です。
例題
次の式を展開せよ。
\[(x+1)(x^2+1)(x-1)\]
解説
和と差の積が作れるように、\((x+1)\) と \((x-1)\) を先にかける。
\((x+1)(x-1)=x^2-1\)まず和と差の積
\((x^2-1)(x^2+1)=x^4-1\)ここでも和と差の積
答 \(x^4-1\)
第1章 数と式9
POINT
同じ項を含む式の展開は、\(=A\) などで置き換える
共通のかたまりを1文字 \(A\) と見れば、ふつうの2次式の展開に早変わり。最後に \(A\) を元に戻すだけです。
例題
次の式を展開せよ。
\[(x+y+1)(x+y-3)\]
解説
共通の \(x+y\) を \(A\) とおくと、ただの2次式になる。
\((A+1)(A-3)=A^2-2A-3\)\(A=x+y\) とおいた
\(=(x+y)^2-2(x+y)-3\)\(A\) を元に戻す
答 \(x^2+2xy+y^2-2x-2y-3\)
第1章 数と式10
POINT
因数分解は、最低次の文字で整理することから始める
2種類以上の文字が混じった式は、次数がいちばん低い文字について並べ替えるのが鉄則。次数が低いほど「〇×( )」の形にまとまり、共通因数が見えてきます。
例題
次の式を因数分解せよ。
\[x^2-xy+x-y\]
解説
\(x\) は2次・\(y\) は1次。次数の低い \(y\) について整理する。
\(=x(x+1)-y(x+1)\)項を分けて共通因数でくくる
\(=(x+1)(x-y)\)共通の \((x+1)\) でくくる
答 \((x+1)(x-y)\)
第1章 数と式11
POINT
分母に \(\sqrt{\ }\) がある場合は、有理化する
分母の根号は消すのが基本。\((a-b)(a+b)=a^2-b^2\) を利用し、分母の符号を反対にしたものを分母・分子にかけます。
例題
次の数の分母を有理化せよ。
\[\dfrac{1}{\sqrt{3}-1}\]
解説
分母の符号を変えた \(\sqrt{3}+1\) を、分母・分子にかける。
\(\dfrac{1}{\sqrt{3}-1}=\dfrac{\sqrt{3}+1}{(\sqrt{3}-1)(\sqrt{3}+1)}\)符号違いをかける
\(=\dfrac{\sqrt{3}+1}{2}\)分母は和と差の積で \(3-1=2\)
答 \(\dfrac{\sqrt{3}+1}{2}\)
第1章 数と式12
POINT
二重根号を外すには、\(\sqrt{a\pm 2\sqrt{b}}\) の「2」を作る
\(\sqrt{\,a\pm 2\sqrt{b}\,}\) は、たして \(a\)・かけて \(b\) になる2数を見つければ \(\sqrt{p}\pm\sqrt{q}\) と外せます。まず中を「\(2\sqrt{\ }\)」の形に整えるのが第一歩。
例題
次の二重根号を外せ。
\[\sqrt{7+4\sqrt{3}}\]
解説
まず根号の中を「\(2\sqrt{\ }\)」の形にそろえる。
\(\sqrt{7+4\sqrt{3}}=\sqrt{7+2\sqrt{12}}\)\(4\sqrt{3}=2\sqrt{12}\) で「2」を作る
\(=\sqrt{4}+\sqrt{3}=2+\sqrt{3}\)たして7・かけて12 → 3と4
答 \(2+\sqrt{3}\)
第1章 数と式13
POINT
無理数の大きさは、すべて \(\sqrt{\ }\) の中に入れて比較する
\(k\sqrt{a}=\sqrt{k^2 a}\)。係数を根号の中に押し込めば、あとは中身の数を比べるだけ。正の数どうしなら、中が大きいほど大きい数です。
例題
\(2\sqrt{3}\) と \(3\sqrt{2}\) の大小を比べよ。
解説
係数を根号の中に入れて、中身の数だけで比べる。
\(2\sqrt{3}=\sqrt{12},\quad 3\sqrt{2}=\sqrt{18}\)\(k\sqrt{a}=\sqrt{k^2 a}\)
\(12\lt 18 \ \Rightarrow\ \sqrt{12}\lt\sqrt{18}\)中が大きいほど大きい
答 \(2\sqrt{3}\lt 3\sqrt{2}\)
第1章 数と式14
POINT
「\(a\lt b\lt c\)」は、「\(a\lt b\) かつ \(b\lt c\)」と言い換える
3つ並んだ不等式は、2つの不等式に分けて別々に解き、最後に両方を満たす範囲(=重なり)をとります。
例題
次の不等式を解け。
\[1\lt 2x-3\lt 5\]
解説
\(1\lt 2x-3\lt 5\) を2つに分けて解く。
\(1\lt 2x-3 \ \Rightarrow\ x\gt 2\)左側の不等式
\(2x-3\lt 5 \ \Rightarrow\ x\lt 4\)右側の不等式
両方を満たす範囲(重なり)をとる。
答 \(2\lt x\lt 4\)
第1章 数と式15
POINT
\(x\) の方程式を解くとき、\(x\) の係数が \(0\) でも \(0\cdot x\) として残す
\(ax=b\) をいきなり「\(x=\dfrac{b}{a}\)」と割ってはいけません。\(a=0\) の可能性があるからです。係数が \(0\) のときを \(0\cdot x=b\) の形で残し、場合分けして考えます。
例題
\(a\) を定数とする。次の方程式を解け。
\[ax=2\]
解説
係数 \(a\) が \(0\) かどうかで場合分けする。
\(a\neq 0\) のとき \(x=\dfrac{2}{a}\)両辺を \(a\) で割れる
\(a=0\) のとき \(0\cdot x=2\)左辺は常に0で成り立たない
答 \(a\neq0\) のとき \(x=\dfrac{2}{a}\)、\(a=0\) のとき解なし
第2章 集合と命題16
POINT
集合が不等式の範囲で与えられたら、数直線上で考える
共通部分 \(A\cap B\) や和集合 \(A\cup B\) は、範囲を数直線に描いて重なり・全体を読むのが確実。頭の中だけで処理しないのがコツです。
例題
\(A=\{x\mid -1\le x\lt 3\}\)、\(B=\{x\mid 1\lt x\le 5\}\) のとき \(A\cap B\) を求めよ。
解説
2つの範囲を数直線に描き、重なる部分を読む。
\(A:\ -1\le x\lt 3\)左寄りの範囲
\(B:\ 1\lt x\le 5\)右寄りの範囲
重なるのは \(1\lt x\lt 3\)。
答 \(A\cap B=\{x\mid 1\lt x\lt 3\}\)
第2章 集合と命題17
POINT
\(A\subset B\) を示すには、「\(x\in A\) なら \(x\in B\)」を示す
包含 \(A\subset B\) の定義は「Aのどの要素もBに入る」。要素を1つとり、Bの条件を満たすことを追いかけます。
例題
\(A=\{4\text{の倍数}\}\)、\(B=\{2\text{の倍数}\}\) のとき \(A\subset B\) を示せ。
解説
\(A\) の要素を1つとり、\(B\) の条件を満たすことを示す。
\(x\in A \Rightarrow x=4k\)(\(k\) は整数)4の倍数
\(x=2\cdot(2k)\) だから2の倍数よって \(x\in B\)
答 ゆえに \(A\subset B\)
第2章 集合と命題18
POINT
\(A=B\) を示すには、\(A\subset B\) かつ \(B\subset A\) を示す
2つの集合が等しいことは、互いに相手を含むことと同値。両向きを1つずつ示します。
例題
\(A=\{x\mid x^2=1\}\)、\(B=\{-1,\ 1\}\) が等しいことを示せ。
解説
両向きの包含を示す。
\(x^2=1 \Rightarrow x=\pm 1\)\(A\subset B\)
\(-1,\ 1\) はともに \(x^2=1\) を満たす\(B\subset A\)
答 ゆえに \(A=B\)
第2章 集合と命題19
POINT
\(p\Rightarrow q\) の真偽は、集合の包含関係で考える
条件 \(p,q\) の表す集合を \(P,Q\) とすると、\(p\Rightarrow q\) が真 ⇔ \(P\subset Q\)。範囲で見れば一目です。
例題
「\(x\gt 3 \Rightarrow x\gt 1\)」の真偽を調べよ。
解説
条件の表す範囲の包含を見る。
\(P=\{x\mid x\gt 3\},\ Q=\{x\mid x\gt 1\}\)各条件の集合
\(P\subset Q\)(\(x\gt 3\) なら必ず \(x\gt 1\))範囲が内側
答 真
第2章 集合と命題20
POINT
無理数であることの証明は、背理法を使うことが多い
「無理数である」を直接示すのは難しいので、いったん有理数と仮定して矛盾を導くのが定石です。
例題
\(\sqrt{2}\) が無理数であることの証明の方針を述べよ。
解説
有理数と仮定して矛盾を導く(背理法)。
\(\sqrt{2}=\dfrac{m}{n}\)(既約分数)と仮定有理数と仮定
2乗して \(m^2=2n^2\) → \(m,n\) がともに偶数既約に矛盾
答 矛盾。ゆえに \(\sqrt{2}\) は無理数
第2章 集合と命題21
POINT
\(a+b\sqrt{2}=0\)(\(a,b\) は有理数)なら \(a=b=0\) しかない
もし \(b\neq 0\) なら \(\sqrt{2}=-\dfrac{a}{b}\) となり「無理数=有理数」で矛盾。だから \(b=0\)、続いて \(a=0\)。これを無理数の相等といいます。
例題
有理数 \(a,b\) が \(a+b\sqrt{2}=3+\sqrt{2}\) を満たすとき、\(a,b\) を求めよ。
解説
「有理数部=有理数部・\(\sqrt{2}\) の係数=係数」で比べる。
\((a-3)+(b-1)\sqrt{2}=0\)右辺を移項
\(a-3=0,\ b-1=0\)無理数の相等
答 \(a=3,\ b=1\)